麻酔の安全性

1800年代半ばに始まった全身麻酔は、はじめの100年は安全性との戦いでした。しかしその後の60年は麻酔薬の改良や設備が格段に進歩しました。日本麻酔科学会の調査では麻酔管理が原因となる事故は約10万例に1例となっています。当院での麻酔管理症例は年間2500例あまりですから、40年に1例起こるかどうかということになります。現在まで重篤な合併症などは起こっていません。

麻酔の安全性の向上は、手術前の患者さんの診察から始まります。麻酔は安全になったといっても重篤な合併症をお持ちの患者さんのリスクは高くなります。麻酔科は十分な術前の診察を行い、どうすればその患者さんにとって最善の麻酔管理ができるかを考えています。このような麻酔管理が麻酔の安全性を向上させています。

お子さんをお持ちのお母さん、お父さんは幼いお子さんの麻酔は心配だと思います。麻酔をすると脳に障害が出るのではないか?ちゃんと覚めるのか?など心配は尽きません。麻酔薬は麻酔が終わると体から速やかに出ていくものなので体への影響は極めて少ないものです。これから発達する胎児や新生児の繰り返しの麻酔ではその危険性は増える可能性がありますが、そうでなければ麻酔による障害はほとんどないと考えてよいと思います。

同じようにお年寄りの麻酔もご家族には心配なものです。高齢者では様々な合併症がありますからそれをしっかり診断し、対処法を考えていけばその危険性はずっと低いものになります。また、脳への影響も心配されるかもしれませんが、術後長期入院する場合を除いて、早くに離床できればほとんど問題にならないと思います。

歯科口腔外科治療では、時間のかかるものもあり、子供やお年寄りにとっては意識のある時には耐えられないものもあります。麻酔はそのような恐怖を取り除き、安全で心地よい状態を提供するものです。

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